令和元年　12月　26日　「仮面のロバ」

東京の単身寮に飾られている、ちょっと不気味でお世辞にもご機嫌とは言えない絵。作者不詳、リビングには不釣合いなこの絵には、何故だか惹きつけられる不思議な力があります。ロバは無表情な素顔なのか、仮面をかぶっているようにも見えます。


全社的には景気の良いニュースが多い我が社ですが、不採算の所属部門では1年前一気に人員削減が進みました。人数減っても仕事量は同じ。今までは分業でやってきた膨大な仕事を何でもこなさなければならなくなりました。それから1年。開き直ってワーカーに徹したからこそ乗り切れた反面、それが為に随分人とぶつかりました。前回の考え事、”47歳に思う事”　「誰とでも仲良くするつもりは無い。いい人でいたいと思わない。それで人に嫌われても仕方が無い」　と書いた通りの1年間になりました。

金曜日は17時丁度にベルダッシュ。週末自宅で家族と過ごす事は絶対に譲れないので(例外ありますが)、平日は持てる能力をフル稼働させて仕事をこなしています。無駄口を叩く時間、ダラダラ飲みに行く暇など無いし、どうせ結論の出ない議論には出たくない。配慮の無い依頼や筋が通らない話には臆せず文句を言いました。毎日が勝負と思っていたので、朝ビルのゲートをくぐり夜外の空気を吸うまでは仕事モードで心底笑う事無く、まさに仮面のロバ。誰もが余裕が無い中ではあるけれど、自分の方が筋が通っているという自信があっての事でしたが、毎日ガチンコモードは結構しんどい。間もなく年末を迎える今　「このままで良いのだろうか？」　という想いにもなっています。


現部門に異動してきた7年前、私の歓迎会を開いてくれたのは営業時代から付き合いがあったW先輩でした。私同様違う部門からの異動組。不断の努力で高い専門知識を身につけ、自他とも認めるチームリーダーでした。誇りを持って仕事に当たる姿は素晴らしく、随分と色々な事を教えて貰いました。ところが事業環境が変わって組織も仕事の仕方もガラッと変わり始めた頃、内外に不満が爆発。結局自ら希望して部門外に出て行ってしまいました。

今年何度か、W先輩が話をしていた事を　「ああ、これを言っていたのか」　と感じる事がありました。結局W先輩が見ていた事、一生懸命訴えていた事は、高すぎるプライドや被害妄想では無く(多少はあったかもしれないが)、概ね正しい事でした。それでも、結局仕事は人と人の繋がりで成り立っていて、いくら正論をぶつけて怒ったところで、相手に届かなければギクシャクして雰囲気が悪くなるばかり。状況は何も変わりません。仕事人として尊敬していたからこそ、レベルは遠く及ばねど私はW先輩のような孤高の人にはなりたくはない。

久しぶりに聞き入ったのは、Play Gooseのメンバー、ワタナベシュウヘイ氏のソロ時代の曲、「WonderfulWorld」。今年以上に余裕が無くなる事必須ですが、そんな中でも少しは良い雰囲気で、来年は仲間と前向きに仕事ができる方法を探してみたい。だからと言ってダラダラ雑談をしたり、打算的な飲み会に行ってみるつもりはありません。仮面のロバは笑うのか？

どんな方法があるか、年末年始ゆっくりと考えてみます。