令和 5年 10月 17日   ”冒険者たち”



夏からの忙しさで秋の遠征計画の断念を決めた頃、ミミ坊から「四国一周計画」について相談をされました。3連休プラス授業が無い金曜日をくっつけて3泊4日、マーチで旅をしたい。四国はどうだろう?。これまでも愛知、徳島、鳥取等友達と日帰りツーリングしていて、半年で走行距離は6,000km。但し単独+宿泊での旅はまだやっていない。

「うん、いいんちゃう」。九州を一周するには時間が足りない。富士山〜伊豆半島も面白いけれど。私自身初めてバイクを手にした時、車を手にした時に四国はさんざん走り回った。絶対的な距離はそれ程でも無いけれど、実際に走ってみると近くて遠い。景色の移り変わりも絶妙。世界をどんどん拡げている今の時期に四国を一周するのはとっても良いのでは。




「で、どこに泊まりながら行くん?」という問いへのミミ坊プランは何と車中泊!。前々から計画しているのは知っていたが、本当に全長3.7m、幅1.6m。6m2弱のコンパクトカーで車中泊出来るのか?当初はべニア板とビニルパイプで工作する算段だったようだが、出発10日前にAmazonで手頃な車中泊専用コットを入手。何か妙に安いし「そんなんで大丈夫!?」の心配をよそに、届いてみたコットは意外や作りもしっかりしているようです。




マーチに仮セッティング。180cmの私にはきついが、170cmのミミ坊には丁度体も収まるサイズ、らしいけれど。なんだか窮屈そうで大丈夫か?新しい事にチャレンジする、これはちょっとした冒険だ。




心配をよそに、意気揚々と出発するミミ坊。当日は4時半起床〜5時出発。淡路島〜徳島〜香川を経由。時々入ってくる家族グループLineには順当に行程を進めるミミ坊の写真。




ひとつだけミミ坊にミッションを託していました。松山で”親友TMに届け物を渡して挨拶をしてきて欲しい”。本来であれば、私自身がZX-11でこの秋再訪して9年振りにTM宅にもお邪魔する計画を立てていました。諸々忙しくて断念したタイミングで聞いたミミ坊の四国一周計画。届け物の真意は、今このタイミングでミミ坊に”ホンモノの男”を引き合わせたかったから。但し、ミミ坊の初めての旅行行程の障壁にはしたくない。なのでTMとミミ坊にお互いのLineを教えて、後どうするかは二人に託しました。果たして・・・

夕方到着予定のミミ坊に、TMは夕食に誘ってくれました。それに応えたミミ坊。すき焼きを御馳走になって20時過ぎTMから奥様と3人での写真が届きました。良かった、託した想いは3人に届いた。ありがとう。




ミミ坊最初の宿泊場所は松山の南、久万高原の「天空の郷さんさん」。事前にミミ坊から「Liveカメラがあるで」と聞いていました。晩に覗いてみると、おっ!マーチ号無事到着している。廻りにはキャンピングカーやらハコバンやらが数台停まっています。環境は悪くなさそうだ。


次の日。ミミ坊が小冒険に出ているというのに3連休スルーはオヤジとして旅の先輩として格好がつかない。今出来得る目一杯の小小冒険に出掛ける事にしました。朝4時半起床。顔を洗い髭を剃ってシャワーを浴びて、一通りのルーチンをこなした後Liveカメラを覗いてみると・・・。




おおっ、いるやん!。ちなみにここのLiveカメラは10分置きの静止画像。なんとタイミングの良い事か。それにしても5時前に始動しているとは、俺の旅の教えをちゃんと実践しているな(笑)。




ZX-11をガレージから出してスタンバイO.K.。ミミ坊にはマーチがあるように、オヤジにもZX-11という長年共にした翼がある。





出発直前、もう1回Liveカメラを覗いてみたら、ミミ坊マーチは既に出発して画面からいなくなっていました。1時間掛けて登った四国カルストがトップの写真。今回一番印象に残ったのが四国カルストで観た朝日だったそうです。その後、長浜海岸〜佐田岬〜足摺岬〜久礼対象市場〜高知〜室戸岬〜徳島経由し1.600km走り切り、1日早い月曜日早朝3時に無事帰着。


自ら計画して実行した2泊3日の四国一周。なるほど”枕が替わると寝られない”課題は、大好きすぎるマーチ号の中にベットを作り、シュラフを積んで、普段使っている枕も持って行ってミミ坊流に解決しました。聞くとTM宅にお邪魔した以外はほとんど観光地も立ち寄らず、岬を3つ巡って行けるところまで走って疲れたら寝る。そんなところも何となく二十代の私の旅スタイルに似ている。


5月のRYUBE麻那姫湖キャンプ。renさんから「頑張って手に入れたマーチ号を”自分の家を持った”と思って大事にするように」という金言を頂いたそうです。「大事に乗るように」という意味で仰ったと思うのですが、ミミ坊はそのお言葉通りたった6m2弱のマーチをまさに”自分の家”にして持ち出した。小さな第一歩で他にないスタイルを作っているところが面白い。


今日17日、私51歳の誕生日を迎えました。アラフィフで30歳離れた息子とツールやアプローチは異なっても価値観を共有できるなんて楽しいし嬉しい。広い世界に背中を押してくれた麻那姫湖の仲間達。今回お世話になったTMとは学生時代によく一緒に走りました。夜中松山を出発してTMのシビックで夜通し走り足摺岬で日の出を観た事もあります。そして初冒険に出掛けたミミ坊。


五十肩で左腕が上がり難くなった。夜更かしが出来なくなった。1日動いたら次の日はゆっくりしたくなった。50歳になって人並みに歳を取った事を実感する毎日。自分で冒険する機会はぐっと減りました。その反面”小さな冒険”を冒険とも思わずに走り回る冒険者たちが私の身近にいて体験を共有できる。こんな楽しみ方、幸せもある事をかみしめながら。年が変わって落ち着いたら今度は自分の番だと心に決めています。