旅木ノ記　”Leggeroの部屋　～明日香村チャリツーリング～”

○　コース

＜往路＞　　自宅出発（６時１５分）～上ノ太子セブンイレブン（７時１０分）～穴虫峠～勝根交差点セブンイレブン（８：１０）～大中公園（８：２５）～今井町（９：００）～橿原神宮駅前（９：３７）～明日香村甘樫丘（１０：００）～坂の茶屋（１１：１０）
＜復路＞　　明日香村坂の茶屋（１２時４６分）～ＪＲ五位堂駅（１３時４０分）～近鉄二上山駅（１４時３分）～穴虫峠（１４時３０分）～帰着（１５時２３分）

○　自宅～上ノ太子

前日は１０時半就寝。起床は４時半。いよいよ１ヶ月掛けて準備してきた明日香村チャリンコツーリングの日を迎えた。補給用のおにぎりを２個にぎり、MAVICのボトルにポカリを1/2に薄めたものを入れて、準備完了。空気圧を８ｋｇに設定し、予定通り６時１５分自宅出発。外は今まで走ってきた中では一番寒い。長尾街道に出てそのまま東進。今回はとにかく往路足を温存し、復路に賭ける作戦だ。ギアの負荷は朝練時よりも軽くして２０ｋｍ/h超で巡航。アップダウンでも早めのギアチェンジを心掛ける。若干追い風か・・・。帰りの事を考えると、今背中押してくれなくて良いから、帰りに押してよ・・・！藤井寺駅前の交差点には２５分で到着。結局普段の練習時とあまり変わらないタイムだ。

石川には６時５３分。ここで南に折れる。南進して向い風になった。それにしても結構寒い。足の指先が冷えてくる。この時間だとだいぶ明るくなってきて、サイクリングロードを見ると早速ロードバイクが走っていた。竹ノ内街道に入り、近鉄沿いに上ノ太子を目指す。待合せのセブンイレブンには７時１０分到着。自宅を出発して所要時間５５分はまあまあか。既にＴが到着していた。

Ｔにはこの日まで、何の自転車を購入したか隠しておいた。「何を買ったのか教えろ！」と脅迫メール（笑）が届いたが、シラを切り通した。そりゃそうさ、今回は真剣勝負。こちらの手の内を知られて色々策を打たれては困るのだ。勿論この日まで毎週末このセブンイレブンまでやってきて、穴虫峠越えの練習をしていた、なんて事も内緒の話（笑）。卑怯と言う無かれ、これぐらいの事をしないとこいつには勝てない。私のLeggeroを観て「ふーん・・・」といった顔をしている。暫く打合せした後、穴虫峠に向けて出発。

○　穴虫峠～大中公園～今井町

さあ、いよいよ穴虫峠。これまでの特訓の成果を見せる時だ！Ｔを先頭に登り始める。　こいつの脚からは、ずんぐりむっくりの体型からは想像できないパワーが出る。これまでのチャリツーでは大抵坂道の途中でロングスパートを掛けられてあっという間に置いていかれるのが定番だった。今回は無理せず、しかしとにかくついていく事が目標。Ｔは登り始めからギアをかなり落としケイデンスを極端に上げて登っていく。１０ｋｍ/ｈ～１５ｋｍ/hペース、これならばついていけるぞ！　峠の中間辺りで、Ｔがふうふう言って足をついた。やはり心臓の負担が大きいのか、全盛期のパワーは無い。足を温存していたお陰で私はまだまだ大丈夫。そのまま峠の頂上まで登り切った。やった！頑張って練習した成果が出たぞ！

峠で一休みした後、奈良盆地に下っていく。近鉄二上山駅を越えた辺りから、名前は知らないが恐らく街道なのだろう、それを流す。勝根交差点のセブンイレブンで一休み。二上山を奈良盆地側から眺める。練習であの山のふもとをウロウロしてきたが、こうしてじっくり奈良側から眺めるのは初めて。

竹ノ内街道（奈良側では初瀬街道と言うらしい）まで出て、そこからはひたすら東に進む。見通しの良い直線路、Ｔが軽くスパートした。まだまだ余裕はあったが、カウンターを入れるのはまだ早い。Ｔを風除けにして足を温存する。ガタイのでかいＴの後ろは結構なブラインドになる（笑）。これも当初の作戦通り。Ｔもそれを察知したか途中でスピードをゆるめた。大中公園で休憩。ここは２０年前高校時代の明日香村チャリツーリングの時も休憩した記憶がある。整備されて綺麗になっていた。

更に竹ノ内街道を東進し、今井町に到着。ここは私は初めて訪れたが、その街並みに感動。これだけ大きなエリアで昔の面影が残っているなんて・・・！しかも、馬篭や妻籠のような所にありがちな、観光客に媚を売るような色気も無く、時折自転車や歩行者が路地から路地へ消えていく姿がなんだかタイムスリップしたような気持ちにさせられた。ここは、またゆっくり来てみたい。

今井町を後にして、明日香村を目指す。橿原神宮の横を南下、橿原神宮前駅９時半。トイレ休憩の後いよいよ明日香村に入る。最初の目的地は甘樫丘。ここはＴと最初に明日香村に自転車で来た時に、人懐っこいガードマンのおっちゃんと出会った場所。その後も何度かお会いして、Ｔは年賀状のやりとりも数年続いたらしい。今も元気にしているのだろうか・・・？久しぶりに頂上まで登ったら飛鳥時代の雰囲気を感じる景色。池の水は凍っていた・・・。

その後飛鳥寺、亀石等をブラブラして、開店時間丁度の１１時に目的地「坂の茶屋」に到着。この店に到着する１００ｍ程はとんでもない激坂になっている。ここでもＴとミニ・ヒルクライム競争。体重差１１ｋｇ＋練習の成果で、ここも完勝！私は一度も足をつかず店まで登り切った。しかし、復路に足を温存する予定が、つい意地をはってしまった・・・。

バイクでは割と頻繁に立ち寄るこの茶屋も、自転車でやってくるとなると、なんだか随分遠くまで来たような気がする。たまたま店がすいていて、おばあちゃんとの会話がはずんだ。さて、ここまで４６．６６ｋｍ。距離はそこそこ走ったが、ペースも抑え気味で、かつちょくちょく立ち寄りながら走ってきたので、まだまだ元気だ。足の疲れも無い。これならば復路、目標のペースで走り切る事は充分できそうだ。Ｔは・・・・？思いの他元気だ。恐らくＴも前半は抑え目で走り、後半にスタミナを温存する作戦なのだろう。１時間半程ゆっくりさせて貰って、１２時４６分「坂の茶屋」を出発。

○　明日香村～ＪＲ五位堂駅～近鉄二上山駅～穴虫峠

今回のチャリツーリングで、復路は重要だ。なにしろ５年前にＴがマークした２時間４２分を切る事が最大の目標だから。その為には奈良側の近鉄二上山駅までは５年前と同じペースで走らなくては、実現は難しい。果たして心臓に爆弾を抱えるＴにそれができるか？・・・若干の不安は杞憂に終わった。復路は明らかに往路よりも速いペース。やはりＴも往路で体力温存する作戦だったようだ。結構なペースで西に向かう。基本的には行きと同じ初瀬街道を西進し、途中から１６５号に沿った裏道を走る（この裏道はＴにしか判らない・・・）。ＪＲ五位堂駅には予想よりも早い１時間を切るベースで到着。なかなかやるな。軽く休憩を取り、私は後半のスパートに備えてエネルギー補給。奈良チャリツーリングの二の舞は絶対にしない。準備していたおにぎりを食べる。これで大和川ラストスパートでの燃料切れを防げるはず。近鉄二上山駅に向かう途中、ついにみぞれまで降ってきた。結構過酷なコンディション。二上山駅には、５年前の１時間２０分を切る１時間１７分で到着。ここで再び小休止。

なかなか良いペース。しかし５年前のＴのタイムは、ここからがペースアップしている。まず最初に立ちはだかるのは穴虫峠だ。ここを５年前のペースで通過すれば２時間４２分の壁はグッと近くなる。二上山駅を少しゆっくり休憩して出発する。実質Ｔと走る区間はここから穴虫峠まで。ちょっと遊びたくなって先頭を走るＴを初めてパスし、ロングスパートを掛けた！。さあ、どうするＴ！？・・・しかしＴは追ってはこなかった。勢いをつけて穴虫峠を一気に登る。１４時２５分穴虫峠到着。

２分程遅れてＴが上がってきた。そう言えば一緒に写真を撮っていなかったので、記念に１枚。ふと時計を見て愕然とする。明日香村１２時４６分出発しているので２時間４２分を切ろうと思うと１５時２８分より前に帰宅しなければならない。ところが既に残り１時間を切っている。５年前のＴは穴虫峠から自宅まで１時間７分。どうにも計算が合わないぞ・・・！１４時３０分、Ｔをせかして出発。のんびり下るＴにしびれを切らしてパス、そのまま流れ解散となった。

○　穴虫峠～柏原～大和川～自宅

事前の朝練（１月９日）で、今回復路で通るルートを使った穴虫峠から自宅までのタイムアタックでは５３分で走った実績はある。しかしその時は若干の追い風＋先行するロードバイクについて３０ｋｍ/ｈペースで走って出したタイムだ。今回は既に７０ｋｍ近く走ってきての事。向い風であれば即アウトだ。取り敢えず石川までは若干の下りなので、飛ばせるだけ飛ばす。石川のサイクリングロードは若干の向い風。ここでペースを落としてはタイムクリアは難しい。歯をくいしばって最低でも２０ｋｍ/ｈをキープして走る。柏原まで走り大和川。ここからはひたすら西に向けて走るだけ。風向きは！？ほとんど無風、場所によって若干の追い風だ！ここで頑張るしかない。思い切ってケイデンス９０をキープして行けるだけいこうと覚悟を決めた。巡航速度は２８～３０ｋｍ/h。汗がジワーッと出る。息はなんとか持ちそうだ、あとは足のスタミナがどこまでもつか・・・。見慣れた焼却場、近鉄南大阪線を越えてもケイデンスは維持できている。練習してきた甲斐があった！あびこ大橋が見えてきた。橋を渡り、西除川沿いの最後のスパート。数分後自宅に到着。時計は？？

・・・１５時２３分。所要時間２時間３７分！　やった！２時間４２分をクリアしたぞ！！

○　走行データを振り返って

今回の明日香村チャリツーリング、個人目標は以下の通りであった。
①一緒に走る区間で、Ｔに離されない。
②往路・復路ともに５年前のＴのタイムをクリアする。

＊２００５年７月１６日　Ｔの明日香村チャリツーリングデータ
・走行距離　(往路）４３．５８キロ　　(明日香村内）７．５３キロ　　(復路）４１．２１キロ　　(全行程）９２．３２キロ
・所要時間　(往路）３時間２７分　　(復路）２時間４２分　　(全行程）　９時間７分

＊今回の明日香村チャリツーリングデータ
（往路）　　走行距離：４６．６６ｋｍ　　所要時間：３時間４５分　　平均速度：１６．５ｋｍ/ｈ　　最高速度：４６．７ｋｍ/ｈ
（復路）　　走行距離：４４．８３ｋｍ　　所要時間：２時間３７分　　平均速度：２１．１ｋｍ/h　　最高速度：４７．７ｋｍ/h

往路のタイムが１８分余計に掛かっているが、往路はもともと大中公園や今井町等をブラブラしながら走る事を決めていたので、全く気にしていなかった。
復路が本当の勝負。「お前には絶対クリアは無理！」と事前にＴに言われていた５年前の記録２時間４２分を５分もクリアした！
途中、一度もＴに離されない、どころか穴虫峠前では逆ロングスパートにも成功。
個人目標、つまりは５年前のＴと、今のＴ、その双方に初めて勝つ事ができたのだ！！

まあ、お互いこの勝負は遊びである。３０歳後半のおっさんが二人。私は１５年振りの自転車本格復帰後間もなく、Ｔは心臓に爆弾を抱える中、高校時代と変わらないペースで往復９０ｋｍある明日香村を無事完走できたのだ。大人気無いおっさん二人に「なかなか頑張ったやん！」と言ってやりたい（笑）。

○　後日談・・・

Ｔが打ちたてた５年前の記録を５分破った事は、即メールでＴに連絡した。するとＴから以下のメールが届いた

「お前の記録はあくまで”参考”記録や。その理由は以下の通り　①距離は５年前のコースと比べて３ｋｍ長いが、大和川沿いの高速路と市街地とでは差がある　②真夏の時期のコンディションと雲泥の差がある。」　・・・との事。なんとも負けず嫌いな事！（笑）。昔から全然変わらん。ブログでは「自転車の価格差１７．５万で５分しか差が無い」事をことさら強調していた。

・・・まあ敢えて反論するならば、事前練習で自宅～上ノ太子（セブンイレブン）のルートについては、長尾街道と大和川コース双方のルートを確認済み（５年前にＴが使った竹ノ内街道は、今の私にとっては敢えて採用するメリットは無い）。大和川ルートの方が実際は１．７ｋｍ距離が長い。確かに信号に引っ掛かる頻度は大和川の方が少ないが、大和川沿いは踏切が２箇所、引っ掛かると非常に待ち時間の長い信号が２箇所ある。また、堤防沿いは風の影響が非常に大きいので、追い風であればアドバンテージを得る替わりに、向い風では大きなロスになる。それを勘案するとこの二つのコース、どちらも一長一短なのである。実際両コースでの朝連ベストタイムはどちらも４８分で一緒だったが、そのタイムから大きくロスする事もあった。但し今回のチャリツーリングでは復路走る時間帯ならば、大和川沿いの方が勝負できると踏んでコース選定したのは事実である。場面に応じて適切なコース選定をするのも、自転車乗りのテクニックだと思うのだが・・・。Ｔ殿、如何？（笑）

ロードバイクとクロスバイクの性能差は確かにある。但しその性能差（速度差）はある本によれば５％程度との事。勿論比較対象の自転車にはピンキリあるし、高速仕様に充分に整備・セッティングされている事も必要であろう。それも踏まえて、私はロードバイクを導入しただけではＴに勝てないと思って、自身の欠点を補い準備できる事はすべてして、今回の明日香村チャリツーリングに臨んだ。Ｔがロードバイクとクロスバイクの価格・性能差を強調すればする程、私にとってはむしろ安心・都合の良い事である。

さて、上記のような理由で負けを認めないＴから、

１）　時期を問わず明日香村～堺を２時間半を切る
２）　夏場（７月・８月）に２時間４２分を切る

を果たしたならば、”参考”記録では無く”公式”記録と認める、というなんとも大人気ない（笑）課題設定をしてきた。私は上述の通り今回の記録は”参考”ではなく充分”公式”記録になると思っているので、無視しても良いのだが、今回心臓に爆弾を抱えながらも敢えて私の子供っぽい喧嘩を買ったＴの心意気に免じて、受けて立つ事にした。まあ今後当面の目標をどうするか考えていたところでもあったので、丁度良い目標ができた。上の条件はふたつともクリアして、今年中に完全勝利を手にして、ぐうの音も言わさないつもりである（笑）。

ちなみに、Ｔは復路明日香村から自宅まで３時間１４分だったそうだ。折角なのでＴには「３時間を切る事」という課題返しをした。Ｔ本来の実力であれば楽勝のはずである。もっとも心臓に爆弾のある今のＴにはあまり無理な事は言えないが、果たしてこれさえクリアできるかどうか・・・。そのＴ、売られた喧嘩を条件反射で買ってしまう性格は相変わらずで（笑）、早速なにやら対策を練っているようだが・・・..。その内容を見る限り、結構真剣な対策を準備しているようではあるが・・・。まあ無駄な努力はやめて、素直に負けを認めた方がええで・・・（笑）

こんな感じに、１５年振りの自転車復帰イベント・明日香村チャリツーリングは、思い掛けない方向に進み、実に楽しく大人気ない勝負となって私を楽しませてくれた。さあ、夏に向けて特訓だ！！